老人ホームには武勇伝が溢れている

最近の老人は元気だというが、本当にそうだと実感する。みんな学校に来ているみたいな感覚なのかもしれない。共同生活だしね。

 

この老人ホームで介護士として働き始めて、早いもので10年。最初は毎日のように辞めてやろうかと

思っていたが、そんな気持ちはもうない。                                                                          

 

昔は長距離トラックの運転手をしていたが、生活リズムが崩れやすいし、家族ができてもなかなか会えない。それは寂しいなと思い、介護士の資格を取った。

 

俺は物心がつく前にじいちゃんもばあちゃんも亡くなっていたから、その年代のひと達とかかわったことなんて本当になかった。

 

だから、初めて仕事を始めた時はコミュニケーションの取り方に悩んだし、10円ハゲを作らせたら日本一なんじゃないかと思えるくらいたくさん10円ハゲができた。

 

これをいじり倒して転げまわっていたやつらのことを思い出したら腹が立ってきた。今度おごらせよう。(ちなみに今でも仲は良い。こんなことで崩れる関係でもない。)

 

そんな俺がこの仕事でのやり方を確立したのは、あるおじいちゃんとの出会いがきっかけだった。

 

そのおじいちゃんは70歳くらいで、まだ元気だったが家で一人よりは良いという理由で入居してきた人だった。

 

明るい人で入居者ともすぐに打ち解けたし、家族もちょくちょく来ているようだった。そんなおじいちゃんが人気の理由は、話が面白いということだった。

 

同僚からそんな話を聞いていた時に、俺はそのおじいちゃんをお世話する仕事が入っていたので、ストレートに聞いてみた。

 

俺「○○さんのお話ってすごい面白いらしいじゃないですか。」

 

爺「そうでもないんだがなー。ただ、お前さんも同世代で昔の話をすると懐かしかったり重石よく感じることがあるだろ?あんな感じじゃないか?それに、わしらの世代は昔のことを今でいう武勇伝みたいに語りたいやつが多いし、自分の威厳を示したいのかもな。」

 

この話を聞いて俺はハッとした。今までは自分から話しかけて、話題を何か提供しなくちゃ、とばっかりして話が盛り上がらなかった昔のことを勉強してみたりもしたが、よく分からないことが多くて、知ったかになりがちだったし。

 

そうか、逆に考えて自分が聞く立場でいいのか、と。それからは気持ちがすごく軽くなった。俺にとっての魔法の言葉が出来上がった。

 

「○○さんって若い頃はどんな風だったんですか?」

 

これだけでコミュニケーションが見違えるほど円滑になった。俺はあくまで聞く側。これまでにたくさんの面白い話、すごい話、切ない話を聞いてきた。

 

このブログでは、そんないろんなおじいちゃん、おばあちゃんの話を紹介していこうと思う。

 

俺が忘れないように記録しておきたい気持ちもある。そんな感じだ。

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